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Vue Fes Japan 2023 Evan You キーノート速報レポ

2023-10-28

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こんにちは、エンジニアの egurinko です。今年は Vue Fes Japan 2023 がオフラインで 5 年振りの開催となりました。そこで行われた Evan You の Keynote の速報レポです。速報レポですので、温かい目で見ていただけると幸いです。

Vue & Vite Update

まずは、この 2~3 年の Vue の動向の共有から始まりました。

Vue v2 から Vue v3 への移行

Vue は 2020 年 9 月に v3 をリリースされましたが、その migration が場合によっては難しいことが多かったそうです。そこからいくつかの失敗と学び、さらにうまく行ったことを紹介していました。

失敗と学び

1 つ目の失敗は、「1度のリリースで breaking change を入れた」ということでした。この経験から、breaking change がある場合は、deprecate => opt-in => remove の cycle にした方が良いとのことでした。

2 つ目の失敗は、「エコシステムへのインパクトを過小評価していた」ことだそうです。コミュニティのライブラリ群が Vue の内部 API を利用しているものがあったため、簡単には Vue 3 への migration ができない状態が発生したそうです。そこで、エコシステム向けの ecosystem-ci を用意したそうです。

3 つ目の失敗は、「全てを1度にリリースしてしまった」ことだそうです。

うまく行ったこと

また、うまく行ったこともその後話されていました。

1 つ目のうまく行ったことは、「TypeScript を適用したこと」だそうです。これにより、Vue 自体のメンテナビリティが苦情したり、将来の iteration が容易になったそうです。

2 つ目は、「Composition API を用意したこと」だそうです。Vue 2 の Options API に欠けていた再利用性や、リファクタリングのしやすさが Composition API により改善され、より大規模なスケールしやすいアプリケーションが作成可能になったそうです。また、再利用性が高まったことで VueUse のようなライブラリも生まれました。

3 つ目は、「DX に投資したこと」だそうです。今では Vue 以外の用途でも利用されている Vite から始まり、ドキュメントを書き直したり、Volar による IDE の体験向上があるそうです。

最後に、「Vue3 は確かにより良いし、成長している」とのことです。確かに migration は予想より時間がかかってしまったが、より良い方向に進んでいるそうです。

Vue の今後のリリースは、以下のような点を重視していくそうです。

  • 安定性がキーである
  • Vue 2 => Vue 3 のような破壊的な変更でない
  • Reactivity や Parser の Optimization を重視していく

Vue のこれからの話

Vue 3.4 alpha

  • こちら の PR により、Reactivity に大きな改善があったそうです

    • より正確で、より効率的
    • スケジューリングや array mutation、memory 管理の面でパフォーマンス向上
  • Reactivity Transform の deprecated などもあるそうです

Vapor Mode

Vue の新しい compile mode である Vapor Mode ですが、こちらについてはまだ実験段階で、2024 1Q, 2Q くらいにリリースする目安だそうです。

Vite のこれから

Vite は Mission は「ウェブのエコシステムにおけるより高いイノベーションの shared foundation となること」だそうです。

Vite の課題

しかし、現在の Vite は以下のような課題が挙げられるそうです。

  • Rollup に依存しているので、Production Build が遅い
  • dev/prod でバンドラーが違うので不整合がある
  • 開発時に、bundle されてない ESM の network overhead がある
  • SSR に問題があった
  • chunk split の制御に制限がある
  • 1st party Module Federation が不足している

それらの課題のほとんどは bundler レイヤーで解決できるそうです。現在開発環境で利用している esbuild は、パフォーマンスこそ良いものの production build に耐えうる柔軟性はなく、反対に production build で利用している Rollup は柔軟性はあるもののパフォーマンスに難がある状態です。

Rolldown の開発

そこで現在は、Rollup を Rust で書き換えた Rolldown というものを作成中だそうです。Rolldown のフォーカスはパフォーマンスであり、なるべく Rollup への Compatibility は保つそうです。また、Rolldown のゴールは Vite から Rolldown へ Switch するときのユーザ影響を少なくすることにあるそうです。

Rolldown はまだ early WIP の状態ですが、よりバンドラーの開発経験が豊富な Rspack チームとコラボしているそうです。また、OXC という Rust で書かれた最速の JS parser を採用しているそうです。

Rolldown の開発は以下のように進んでいくそうです。

  • Stage 1: 基本的なバンドリングの機能をサポート
  • Stage 2: 高度なバンドリングのサポート。ここで Rollup の機能を置き換えるそうです
  • Stage 3: Built-in の Transform。ここで、TS/JSX/Minification/Syntax lowering をサポートするそうです
  • Stage 4: Vite を Rustify する。Vite のパフォーマンスクリティカルな箇所から Rust に書き換え、Rolldown の API を利用するようにするそうです。

まとめ

今回は Vue Fes 2023 の Evan You のキーノートを速報レポとして紹介させていただきました。

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